最終課題
「雪の妖精」

千葉に引っ越してはや一年。自転車を漕げば20分で海に出る。稲毛は地元高崎よりもずっと都会で、商業施設や住宅がひしめき合い、交通機関も発達している。少し足を延ばせば,
さらに都会的な街を目にすることができる。これほど素晴らしい場所はほかにない。しかし、千葉に来て1年、千葉にはスキー場が存在しないという事実に気付いた。雪も降らない。かつて当たり前に私の目の前に広がっていた景色はそこにはない。私は大変なショックを受けた。だから、千葉にスキー場を造ろうと決めた。この装置はその成果である。マイクロビットのボタンを押すことで、台座の内側に取り付けたファンが回転し上部のクリアケース内の雪が激しく舞い上がるという構造である。はじめは市販のハンディファンからプロペラを取り出そうとした。しかし、大枠を分解し外した時、その内部の構造が理解できず、頭の中が真っ白になった。身の丈に合わないことはやるべきではない、とはこれまでの経験からわかっていた。そのため、ハンディファンそのものをそのまま活用し、マイクロビットのボタンを押すとサーボモーターが回転し、ハンディファンのスイッチを押し、ファンが回るというなんとも原始的な仕組みをとった。台座はそのハンディファンが入るサイズに大きさと内部構造を設計した。しかし、それに付属するマイクロビットや電池、コード類が収まらないという問題が起こった。修正しなくてはならなかったが、奇しくもスキー部員としての活動が多忙を極め、スキー場づくりに避ける時間はもう残されていなかった。上部のクリアケース内の背景はレーザー加工機により作成した。千葉にはない銀世界を再現することに成功した。肝心な雪だが、発泡スチロールを細かく切断することにより作成した。風を当てると彼方に飛んでいく。しかし、ここでも不具合が生じた。雪を乗せる部分は格子状にし、風の通り道を作っていた。この格子の面積が問題であった。あまりにも面積を大きくしたばかりに、送り込む風の量が減少し、雪が全くと言っていいほど舞い上がらなかった。結論、失敗してしまった。それでも、この最終課題と授業全体を通して、改めてものづくりの楽しさを実感することができた。探り探りの作業には、今回のように失敗が伴うこともある。しかし、その失敗でさえ意欲を掻き立て、ものづくりの魅力にのめり込ませてくれる。作成過程における試行錯誤や仲間との協力、意見交換は、技術科という科目が単にものづくりの知識を学ぶ場ではなく、より大きな価値や意義を持つことを実感させた。技術科の教員を志す立場として、これからも常に試行錯誤を重ね、ものをつくり、その背景を学びながら、豊かな人生のためのこの科目の価値について考えていきたい。ちなみに、シマエナガは「雪の妖精」と呼ばれているそうだ。

